はじめに

本書では、SDPF Virtual Server環境において構築支援ツールを用いたOracle Real Application Clusters(以下、RAC)の構成方法を説明します。
本構築支援ツールを使用することで、Oracle RACの設定作業およびミスを軽減することができます。

注釈

本書で提示する構成は一例であり、性能を保証するものではありません。性能、可用性、保守性などのお客様要件に応じた設計が必要です。

システム構成

本書では、以下のシステム構成図に示した2ノードRAC構成の構築手順を通して、構築支援ツールを使用したRAC構築方法について説明します。
※本ツールを使用して3台以上のRACを構成することも可能です。
../../../_images/image0001.png

<凡例>

../../../_images/image00159.png

今回構築するシステムのサーバーインスタンスOSは、以下の通りです。

OS

バージョン

RAC用サーバーインスタンス(VM)

Oracle Linux

7.X

Ansible用サーバーインスタンス(VM)

CentOS

7.X

※Xはマイナーバージョンを示します。

今回構築するシステムのサーバーインスタンスボリューム情報は、以下の通りです。

サーバーインスタンス名

ボリューム名

サイズ(GB)

グループ

説明

rac1.cloud.lab.oratest.com

RAC1_OS_Vol

40

zone1-groupa

RAC1のOS用※

RAC1_DB_Vol

40

zone1-groupa

RAC1のOracleソフトウェアインストール用

rac2.cloud.lab.oratest.com

RAC2_OS_Vol

40

zone1-groupb

RAC2のOS用※

RAC2_DB_Vol

40

zone1-groupb

RAC2のOracleソフトウェアインストール用

※RACのOS用ボリュームのディスクパーティション構成は、 Oracle詳細情報 をご確認ください。

今回構築するシステムのロジカルネットワーク情報は、以下の通りです。

ロジカルネットワーク名

サブネットワーク名

ネットワークアドレス

用途

oraclenw

oraclenw_sub

192.168.1.0/24

Public用セグメント

ol_rac_stgnw

ol_rac_srgsub1

192.168.2.0/24

ブロックストレージ用セグメント

rac_priv1

rac_priv1_sub

192.168.3.0/24

Interconnect1用セグメント

rac_priv2

rac_priv2_sub

192.168.4.0/24

Interconnect2用セグメント

今回構築するシステムのIPアドレス情報は、以下の通りです。

oraclenw

ol_rac_stgnw

rac_priv1

rac_priv2

ansible

192.168.1.13

-

-

-

rac1

192.168.1.31

192.168.2.31

192.168.3.31

192.168.4.31

rac1-vip

192.168.1.33

-

-

-

rac2

192.168.1.32

192.168.2.32

192.168.3.32

192.168.4.32

rac2-vip

192.168.1.34

-

-

-

rac-scan

192.168.1.35
192.168.1.36
192.168.1.37

-

-

-

BlockStorage

-

192.168.2.2
192.168.2.3

-

-

今回構築するシステムのブロックストレージとディスクグループ情報は、以下の通りです。

ブロックストレージ名

ボリューム名

サイズ(GB)

デバイス名

イニシエーター名

ASMディスクグループ名

BlockStorage

RAC_DATA_Vol1

100

mpath-DATA-0001

iqn.1988-12.com.oracle:rac1
iqn.1988-12.com.oracle:rac2

DATA

RAC_DATA_Vol2

100

mpath-DATA-0002

iqn.1988-12.com.oracle:rac1
iqn.1988-12.com.oracle:rac2

RAC_DATA_Vol3

100

mpath-DATA-0003

iqn.1988-12.com.oracle:rac1
iqn.1988-12.com.oracle:rac2

RAC_FRA_Vol1

100

mpath-FRA-0001

iqn.1988-12.com.oracle:rac1
iqn.1988-12.com.oracle:rac2

FRA

RAC_FRA_Vol2

100

mpath-FRA-0002

iqn.1988-12.com.oracle:rac1
iqn.1988-12.com.oracle:rac2
../../../_images/image00259.png

構築支援ツールの構成と実行フロー

構成

構築支援ツールは、以下のツールで構成されます。

パラメータファイル作成ツール

事前チェックツールおよびRAC自動構築ツールで利用するパラメータファイルを作成するツールです。
本ツールで、パラメータファイルの作成、パラメータに対する検証(バリデーション)を行います。

事前チェックツール

RAC自動構築ツールの実行に必要な環境が整っていることを確認するツールです。
本ツールで、構成不備をチェックし、RAC自動構築ツールが、構成に失敗することを防ぎます。

RAC自動構築ツール

お客様が、指定されたパラメータを元にRACを自動構築するツールです。本ツールは、Ansibleを利用しています。
本ツールで、RAC固有のOS設定やソフトウェア(Oracle Clusterware)のインストールを自動で実施します。
※本ツールでは、Oracle Databaseインスタンスは作成されません。Databaseインスタンスは、Oracle Database Configuration Assistant(DBCA)などを使用して作成してください。

実行フロー

構築支援ツールを利用してRACを構築するまでのフローは、以下の通りです。

  1. システムを構成する各コンポーネントを作成します。※

  2. Ansible用サーバーインスタンスを作成します。

  3. パラメータファイル作成ツール を利用し、パラメータファイルを作成します。

  4. 事前チェックツール を利用し、RAC自動構築ツールの実行可能な構成になっていることを確認します。

  5. RAC自動構築ツール を利用し、RACの構築および正常性確認を実施します。

※ 作成手順は、OracleRAC構築手順例 をご確認下さい。
RAC構築支援ツールは、「Grid Infrastructure と ASM DiskGroupの作成」および「Oracleソフトウェアのインストール」を実施します。