はじめに

本書では、SDPF Virtual Server環境において構築支援ツールを用いたOracle Real Application Clusters(以下、RAC)の構成方法を説明します。
本構築支援ツールを使用することで、Oracle RACの設定作業およびミスを軽減することができます。

注釈

本書で提示する構成は一例であり、性能を保証するものではありません。性能、可用性、保守性などのお客様要件に応じた設計が必要です。

システム構成

本書では、以下のシステム構成図に示した2ノードRAC構成の構築手順を通して、構築支援ツールを使用したRAC構築方法について説明します。
※本ツールを使用して3台以上のRACを構成することも可能です。
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<凡例>

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今回構築するシステムのサーバーインスタンスOSは、以下の通りです。

  OS バージョン
RAC用サーバーインスタンス(VM) Oracle Linux 7.X
Ansible用サーバーインスタンス(VM) CentOS 7.X
※Xはマイナーバージョンを示します。

今回構築するシステムのサーバーインスタンスボリューム情報は、以下の通りです。

サーバーインスタンス名 ボリューム名 サイズ(GB) グループ 説明
rac1.cloud.lab.oratest.com RAC1_OS_Vol 40 zone1-groupa RAC1のOS用※
  RAC1_DB_Vol 40 zone1-groupa RAC1のOracleソフトウェアインストール用
rac2.cloud.lab.oratest.com RAC2_OS_Vol 40 zone1-groupb RAC2のOS用※
  RAC2_DB_Vol 40 zone1-groupb RAC2のOracleソフトウェアインストール用
※RACのOS用ボリュームのディスクパーティション構成は、 Oracle詳細情報 をご確認ください。

今回構築するシステムのロジカルネットワーク情報は、以下の通りです。

ロジカルネットワーク名 サブネットワーク名 ネットワークアドレス 用途
oraclenw oraclenw_sub 192.168.1.0/24 Public用セグメント
ol_rac_stgnw ol_rac_srgsub1 192.168.2.0/24 ブロックストレージ用セグメント
rac_priv1 rac_priv1_sub 192.168.3.0/24 Interconnect1用セグメント
rac_priv2 rac_priv2_sub 192.168.4.0/24 Interconnect2用セグメント

今回構築するシステムのIPアドレス情報は、以下の通りです。

  oraclenw ol_rac_stgnw rac_priv1 rac_priv2
ansible 192.168.1.13 - - -
rac1 192.168.1.31 192.168.2.31 192.168.3.31 192.168.4.31
rac1-vip 192.168.1.33 - - -
rac2 192.168.1.32 192.168.2.32 192.168.3.32 192.168.4.32
rac2-vip 192.168.1.34 - - -
rac-scan
192.168.1.35
192.168.1.36
192.168.1.37
- - -
BlockStorage -
192.168.2.2
192.168.2.3
- -

今回構築するシステムのブロックストレージとディスクグループ情報は、以下の通りです。

ブロックストレージ名 ボリューム名 サイズ(GB) デバイス名 イニシエーター名 ASMディスクグループ名
BlockStorage RAC_DATA_Vol1 100 mpath-DATA-0001
iqn.1988-12.com.oracle:rac1
iqn.1988-12.com.oracle:rac2
DATA
  RAC_DATA_Vol2 100 mpath-DATA-0002
iqn.1988-12.com.oracle:rac1
iqn.1988-12.com.oracle:rac2
 
  RAC_DATA_Vol3 100 mpath-DATA-0003
iqn.1988-12.com.oracle:rac1
iqn.1988-12.com.oracle:rac2
 
  RAC_FRA_Vol1 100 mpath-FRA-0001
iqn.1988-12.com.oracle:rac1
iqn.1988-12.com.oracle:rac2
FRA
  RAC_FRA_Vol2 100 mpath-FRA-0002
iqn.1988-12.com.oracle:rac1
iqn.1988-12.com.oracle:rac2
 
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構築支援ツールの構成と実行フロー

構成

構築支援ツールは、以下のツールで構成されます。

パラメータファイル作成ツール

事前チェックツールおよびRAC自動構築ツールで利用するパラメータファイルを作成するツールです。
本ツールで、パラメータファイルの作成、パラメータに対する検証(バリデーション)を行います。

事前チェックツール

RAC自動構築ツールの実行に必要な環境が整っていることを確認するツールです。
本ツールで、構成不備をチェックし、RAC自動構築ツールが、構成に失敗することを防ぎます。

RAC自動構築ツール

お客様が、指定されたパラメータを元にRACを自動構築するツールです。本ツールは、Ansibleを利用しています。
本ツールで、RAC固有のOS設定やソフトウェア(Oracle Clusterware)のインストールを自動で実施します。
※本ツールでは、Oracle Databaseインスタンスは作成されません。Databaseインスタンスは、Oracle Database Configuration Assistant(DBCA)などを使用して作成してください。

実行フロー

構築支援ツールを利用してRACを構築するまでのフローは、以下の通りです。

  1. システムを構成する各コンポーネントを作成します。※
  2. Ansible用サーバーインスタンスを作成します。
  3. パラメータファイル作成ツール を利用し、パラメータファイルを作成します。
  4. 事前チェックツール を利用し、RAC自動構築ツールの実行可能な構成になっていることを確認します。
  5. RAC自動構築ツール を利用し、RACの構築および正常性確認を実施します。
※ 作成手順は、OracleRAC構築手順例 をご確認下さい。
RAC構築支援ツールは、「Grid Infrastructure と ASM DiskGroupの作成」および「Oracleソフトウェアのインストール」を実施します。