2.7. マルチアクセスSIMについて

※お問い合わせが多い項目へ: 開通時の注意事項   動作確認端末

2.7.1. 仕様

2.7.1.1. 技術仕様

  • マルチアクセスSIMは、1枚のSIMにメインキャリアとサブキャリアの計2つのプロファイル情報を備えます。また、SIMにはアプレットが搭載されており、疎通確認を行うことで通信障害を検知しメインキャリアとサブキャリアの回線情報の書き換えをSIM内で自律的に行います。書き換わり後、端末がSIM情報を読み直し再接続することで、キャリア切り 替えが実現します。

   メインキャリア:NTTCプロファイル (NTTドコモ網を利用可能)

   サブキャリア:TSLプロファイル (KDDI網をローミングで利用可能)

  • 疎通確認は、インターネット上の監視ホストに対し実施します。1回の疎通確認で、監視先ホスト1に対する疎通確認が取れないときのみ監視先ホスト2への確認を実施します。
ダイアグラム1
   監視先ホスト1:8.8.8.8:35
   監視先ホスト2:1.1.1.1:35


  • 回線切り替わりの流れは次の通りです。
ダイアグラム2


  1. メインキャリア(NTTCプロファイル)利用時:ステートA及びステートBでの動作
  • 1分毎に監視先ホストへ疎通確認を実施します。
  • 1分毎の疎通確認で接続性確認ができなかった場合、10秒毎に疎通確認を2回実施します。
  • 1分毎の疎通確認及び10秒毎の疎通確認が2回失敗した場合に、サブキャリアの回線情報に書き換わります。
  1. サブキャリア(TSLプロファイル)利用時:ステートCでの動作
  • 1時間後にメインキャリアの回線情報に書き換わり、疎通確認を実施します(切り戻し試行)。
    ※サブキャリア利用時は1分毎の監視先ホストへの疎通確認は実施しません。
  • SIMが端末からサービスの圏外又は制限の情報を受け取った場合には、1時間を待たずメイン回線に情報が書き換わり切り戻し試行を実施します。
  1. 切り戻し試行 (メインキャリア):ステートDでの動作
  • サブキャリアからメインキャリアに回線情報が書き換わったのち、監視先ホストへ疎通確認を1回実施します。
  • この疎通確認に成功した場合には、(1)メインキャリア利用時に戻ります。
  • 失敗した場合には、(2)サブキャリア利用時に戻ります。
  1. 電源を切った後の動作:ステート共通
  • 端末の電源を切り再起動したときには、ステートAに戻ります。
  • ただし、一部の端末や再起動の方法によっては、SIMに対し再起動がなされたこと(Terminal Profile)が通知されない場合があります。この場合、再起動前キャリアで(1)~(3)の最初状態から再スタートします。

●本機能に関する端末要件及び動作確認端末については、3.4 マルチアクセスSIM機能利用時の端末要件 をご確認ください。


2.7.1.2. 提供プラン等の制限事項

  • マルチアクセスSIMで利用可能なプランは次の通りです。
 NTTCプロファイル インターネット接続(プロファイル切替なし)
 定額プラン、従量プラン
 ※閉域接続、上り特価プランは非対応
 ※定額プランをご利用の場合は、NTTCプロファイルのデータ通信容量について容量シェアに対応します。

 TSLプロファイル インターネット接続(プロファイル切替なし)
 ・従量プラン   ※ただし、JapanでKDDI網を利用した通信のみ可能です
 ・ マルチアクセスSIMは、次の機能、オプション及び支払方法等には対応していません。

     (1) テストモード

     (2) グローバル固定IPアドレス

     (3) 年間前払い


2.7.2. ご契約前の事前動作確認について

 マルチアクセスSIMは、3GPP TS 31.111及びETSI TS 102.223で標準化されている技術を利用していますが、端末の仕様等により期待通りに動作しない場合があります。そのため、本格導入の前に、お客さまによる動作確認を強く推奨いたします。以下は確認が推奨される事項です。1枚のマルチアクセスSIMが具備するNTTプロファイル及びTSLプロファイルの両方を開通状態にしてから開始してください。

  ・NTTCプロファイルでの通信

  ・NTTCプロファイルを中断状態にし通信不可とすることでのキャリア切替

  ・TSLプロファイルでの通信

  ・TSLプロファイルで1時間経過後のNTTCプロファイルへの切り戻り

  ・その他、実際に利用するお客さま端末設定、アプリケーション、利用環境においての動作確認

  ・一定期間利用後のサブ回線のデータ通信使用量を確認 (想定量と乖離していないかの確認)


2.7.3. ご利用時の注意事項

 2.7.3.1. 開通時の注意事項

 <ポータルでマルチアクセスSIMを開通する場合>

  • 開通したいマルチアクセスSIMのNTTCプロファイル又はTSLプロファイルのいずれかまたは両方のプロファイルのチェックボックスにチェックを入れます
  • [開通ボタン]を押すとメインキャリア(NTTCプロファイル)のプラン及びサブキャリア(TSLのプラン)を設定する画面が表示されます
  • それぞれのプロファイルで利用したいプランを選びます。(※TSLプロファイルは従量プランのみの提供となりますが、通信上限値を設定したい場合に設定が可能です。)
  • 開通ボタンを押すと、開通リクエストが送信されます。

 <APIでマルチアクセスSIMを開通する場合>

  • NTTCプロファイル及びTSLプロファイルへの開通リクエストをそれぞれ実行してください。

 2.7.3.2. ライフサイクル管理に関する注意事項 (冗長性を確保していただくために)

  • 中断、休止(NTTCプロファイルのみ)、再開のステータス変更は1つのSIM内の各プロファイルで独立しています。そのため、ポータル又はAPIでの操作で両回線のステータス変更を実施する必要があります。
  • ただし、廃止については1つのリクエストでNTTC及びTSLの両プロファイルの廃止を実行できます。
  • なお、マルチアクセスSIMとしてのキャリア切替の冗長性をご利用いただくためには、両プロファイルが利用中であることをご確認の上ご利用ください。

 2.7.3.3. マルチアクセスSIMの接続履歴に関する注意事項

 SIMから取得した接続キャリア情報をマルチアクセスSIM接続状況(直近の接続キャリア情報)及びマルチアクセス接続履歴(過去の接続キャリアログ)としてご提供いたします(SIM一覧画面より当該項目を選択することで閲覧可能です。)。
 ただし、端末の挙動や負荷状況により接続キャリア情報が取得できない場合がございますので、予めご了承のうえご参照ください。
 なお、実際のデータ通信量については、各プロファイルのデータ通信使用量をご確認することをお勧めいたします。

 2.7.3.4. サブキャリア利用に関する注意事項

  • 利用環境や端末の挙動等影響によりお客さまの想定量とは異なったサブキャリアでの通信が発生する場合があります。
  • サブキャリアで利用するTSLプロファイルは従量料金となります。意図しない高額利用を回避するために、端末利用時のユーザ側でのキャリアの確認、データ通信使用量の定期的な確認、サブキャリアの通信量上限値設定の活用をご検討ください。
  • また、ご契約前の試験等により、データ通信の利用傾向をお確かめいただくことを推奨します。

 2.7.3.5. ICCID、PIN、PUKに関する補足説明

  • マルチアクセスSIMは、疎通確認等状況に応じてSIM内の利用プロファイルが書き換わりますが、以下の情報についてはSIM内では書き換わらず、NTTCプロファイルものがどちらのプロファイルの利用時にも適用されます。

     ICCID、PIN、PUK

  • ポータル又はAPIでTSLプロファイルを指定して情報取得したものと、SIM上の情報が異なりますのでご留意ください。
  • 例えば、通信モジュールのATコマンドで取得できるICCIDは常にNTTCプロファイルのものとなります。
  • サポートへの問合せは、HSN等SIMを特定する情報に加えどちらのプロファイルを利用していたかや、IMSI情報のご提供をお願いいたします。